2010-01-01から1年間の記事一覧

久坂葉子「落ちてゆく世界」論 〈戦後〉の家庭をめぐって

久坂葉子「落ちてゆく世界」論 〈戦後〉の家庭をめぐって 関西学院大学大学院博士課程後期課程 竹内友美 久坂葉子は島尾敏雄の推挙により「VIKING」の同人となり、昭和二四年一一月一日から同二五年一月二〇日にかけて題名不明(私は、そんな気のきい…

宇野千代「色ざんげ」の成立過程

宇野千代「色ざんげ」の成立過程 関西大学非常勤講師 荒井 真理亜 宇野千代の「色ざんげ」は、「中央公論」の昭和八年九月一日発行(第48年9号)、昭和九年二月一日発行(第49年2号)、昭和九年九月一日発行(第49年10号)、昭和十年三月一日発行(第50年…

夏目漱石における〈罪〉 償却されない〈罪〉の淵源をめぐって

夏目漱石における〈罪〉 償却されない〈罪〉の淵源をめぐって 佛教大学大学院国文学専攻研究員 佐藤 良太 本発表は、漱石作品に表れた〈罪〉の文言に着目し、作品や日記・断片及び書簡の文脈を共時的に精査することを基本に、これまでの研究史における〈罪〉…

福永武彦「海市」論 過去を再構築する意味

福永武彦「海市」論 過去を再構築する意味 大阪府立大学大学院 稲垣 裕子 福永は過去の中に生きる現在を繰り返し描き、作中人物の自己の在り方について問うことをやめない。想起される過去の記憶に立ち会い、語りえぬ過去の記憶を取り戻すこと、それこそが福…

村上春樹「沈黙」について 作品構想と世界像をめぐって

村上春樹「沈黙」について 作品構想と世界像をめぐって 岡山大学大学院教育学研究科 木村 功 村上春樹の「沈黙」(初出『村上春樹全作品1979〜1989』第五巻、一九九一、講談社)には、現在「大幅に手を入れた」(村上春樹)バージョンである『はじめての文学…

川端康成『雪国』 初出雑誌発表の伏字について

川端康成『雪国』 初出雑誌発表の伏字について 関西大学大学院 ピレハディ バハレイ 川端康成の『雪国』は、発表当時、長編小説として読者に提出されたのではない。発表雑誌も、「文藝春秋」「改造」「日本評論」「中央公論」「暁鐘」「小説新潮」と様々であ…

満洲文学のある一面 長谷川濬の『蘇へる花束』を視座として

満洲文学のある一面 長谷川濬の『蘇へる花束』を視座として 神戸大学大学院博士後期課程 魏舒林 長谷川濬は明治三九年函館市に生まれ、昭和七年大阪外国語学校露語科を卒業、同年五月に渡満した。長谷川の名が広く知られるようになるのは、昭和一一年にベス…

<書く>ことの業(カルマ)  栗本薫・晩年の展開

<書く>ことの業(カルマ) 栗本薫・晩年の展開 大手前大学非常勤講師 森本智子 「あらゆるリミッターがなく、過剰なままに生き、創作する。彼女を見ていると、小説を生むのは脳の機能の一種の障害だと思えます」。昨年五月、膵臓がんで逝去した中島梓こと…

創刊号 (1995/7/20)

梶井基次郎における転倒・転位 「泥濘」および「路上」 鎌田 廣己坂口安吾の日本古代史 藤原 耕作泉鏡花『星あかり』論 自己像幻視(ドッペルゲンガー)の生成について 奈良崎 英穂『上海』試論 身体と言語をめぐって 黒田 大河谷崎潤一郎『吉野葛』考 実感…

第2号 (1998/3/20)

泉鏡花と打擲する女 『貧民倶楽部』から『湯女の魂』へ 三品 理絵散歩という近代 散歩する漱石 西村 好子有島武郎『迷路』について 岩見 幸恵横光利一「蝿」論 日常/非日常の物語 脇坂 幸雄『邯鄲』論 高橋 和幸島尾ミホ「その夜」 ミホの単独「死」に内在…

第3号 (2000/7/15)

韓国における漱石研究の現状 金 正勲石川淳「履霜」論 貞操と画一への反抗 重松 恵美太宰治「おさん」論 『心中天網島』との比較を中心として 青木 京子中島敦「マリヤン」論 一九四二年の「マリヤン」 諸岡 知徳遠藤周作『沈黙』におけるロドリゴの最期の信…

第4号 (2002/3/31)

広津柳浪『非国民』論 「感化」される者/されない者 全 美星夏目漱石『草枕』におけるジャンルの交錯 漢語の位相に注目して 北川 扶生子夏目漱石「野分」論 「批評家」の誕生 宮薗 美佳『三四郎』の世界 三四郎の詩と現実 水川 恵三高山樗牛と大西祝 樗牛の…

第5号 (2004/3/31)

『たけくらべ』論 明治少年少女の実態を考察する視点から 沈 彗敏神経衰弱と<狂気> 漱石『文学論』 荻原 桂子メディアの中で生成される<私> 志賀直哉「大津順吉」に見る自己語りの様相 亀井 千明幻想のディスクール 内田百輭「道連」の構想と変容 木村 …

第6号 (2005/3/31)

漱石の「超自然」(その1) 神秘家としての一面 仲 秀和松岡国男新体詩「暁やみ」と田山花袋「蒲団」 歌(詩)と散文(小説)と 高橋 博美再会の物語とモチーフ 『最後の一句』を中心に 日塔 美代子魔境という<狂気> 漱石『明暗』 荻原 桂子宮沢賢治「ポラ…

第7号 (2006/3/31)

田山花袋「蒲団」に見る「狭間の世代」とその周辺 高橋 博美一九一一年「絵画の約束」論争 白樺美術展にみる<自己の為の芸術>をめぐって 吉本 弥生尾崎翠「途上にて」論 太田 路枝遠藤周作 『海と毒薬』論 その構成における破綻 田中 葵書評 荒井真理亜『…

第8号 (2007/6/30)

武者小路実篤の「自我」 一九一〇年前後を中心に 吉本 弥生田村俊子「生血」試論 ゆう子の金魚殺し 高田 晴美太宰治『正義と微笑』論 進像の変貌とキリスト教との関連を中心に 洪 明嬉織田作之助「世相」論 三谷 修愚者の船より不知火海を望む 石牟礼道子『…

第9号 (2008/6/30)

反新聞紙悪徳論 仮名垣魯文達から見た西南戦争 松原 真鴎外『阿部一族』論 上野 芳喜夏目漱石「三四郎」論 <迷える羊>への自覚 岡本 直茂内田百輭「東京日記」論 日常的怪異空間としての東京 吉川 望王の法と語る身体 「走れメロス」論 勝田 真由子松本清…

第10号 (2009/6/30)

鴎外『舞姫』論 上野 芳喜沖野岩三郎著 『宿命』 「懸賞文芸募集」から新聞連載に至る経緯を中心として 福森 裕一田村俊子の一葉論と<女作者>に関する一考察 高田 晴美鬼になった女 太宰治『皮膚と心』論 川辺 久仁太宰治『竹青』論 魚容の<面目>に対す…

第11号 (2010/5/31)

森鴎外「うた日記」論 二つの魂 西村 好子森鴎外『大塩平八郎』論 上野 芳喜夏目漱石における<罪> 漱石的<罪>と天道思想 佐藤 良太夏目漱石「それから」論 <自然>の愛をめぐって 岡本 直茂宇野千代「色ざんげ」の成立過程 「情死未遂」との関係から 荒…